欧州では、日本と異なり男性から女性へ渡すのが礼儀とは知りませんでした。
となると、日本の男性はもっと感謝しなくてはいけません。照れることなく素直に喜びを相手へ見せることです。
百貨店のバレンタイン商戦も対策を施しながら人気に陰りは見えない。各ショーケースには、欧州ブランドの高級品が漆黒に輝き、コロナ禍において心を和ませてくれるようです。
夜の外出はちょっと…なので、今年はオーセンティック・バーにおけるバレンタインをイメージしてみましょう。チョコレートとの相性で際立つのが、赤ワインやウイスキーを―贈る(飲む)―こと。味覚生理学上においても、双方に含まれる上質なポリフェノールとカフェインは心身共にリラックス効果を期待できるそうです。中でもブルゴーニュではなく、メルロー主体、しっとり落ち着きがあるボルドー、若しくはチョコレートよりも濃く、黒コショウの様なスパイシーさを余韻とするシラー種(ローヌ)を選ぶとよさそう。
対照的にウイスキーならシングルモルトではなく、華やかなエステルが身上のスコッチブレンデッドタイプ、特にオールドパー特有の一本気な骨格はペアリング界において助演男優賞のキャラクターです。
更に「おっ!」と思わせるのなら、葉巻(シガー)なんて如何でしょう。葉巻は吸わなくてもいいのです。お香を焚くようにマッチで火をつけ、部屋中に紫煙を燻らすだけでミステリアスというか?非日常な空間を醸しだすものです。体験と重ね一度お試し戴けるのも一興です。
そうそう。葉巻(シガー)なら、バレンタインデーに相応しいブランドがあります。
この時期にお勧め銘柄は「ロメオ ワイ ジュリエッタ」。名前の通り『ロミオとジュリエット』というシェイクスピアの戯曲が由来。舞台となったヴェローナの街はチョコレートが有名で、日本でも多く輸入されております。これこそイチオシです。
ペアリングと葉巻の話で纏めてしまいましたが、チョコレートの原料カカオはシガーと原産地(南米カリブ海諸国)が同じ故に、どうしても味わいやストーリー共に紐付いてしまうのですね。「同じ・産地同志・合わないものはない」の法則です。
それでは、想い出となるバレンタインをお過ごし頂ければ幸いです。